> 『数学的思考(?)エッセイ』 の試み

42. 冷却の法則
 熱き愛も時とともに冷ゆる。 冷えゆく歩合の大きさは、その愛の大きさゆえにあり。 それがこの世の理(ことわり)なり。

 愛の大きさ はある時 のもの。 刹那(せつな)の時 なれど、過ぎ去りてみれば愛は となりにけり。 悲しきかな が負であることは何人たりとも如何ともしがたし。 かのNewton の 「冷却の法則」 によれば
    (は正の定数)
にて表わさるべし。 の極限に思いをはせれば、微分方程式
  
なるものを得る。 ああ全てはこの方程式にて事は過ぎ行くのみ。

 初期 のむつまじし頃、愛の大きさはそれこそ測りがたき ほどもありしものを、これを解くと
  
とあい成りにける。

 様は左様のごとくなれば、すべてはこの世の定めと時の流れに身をまかせざるを得ず。
(2002. 8.10)
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 それにしても、なぜ 「Newtonの冷却の法則」 が成り立つのだろうか。「愛」 については、扱うには問題が複雑すぎて私の能力を超えているので、ここでは湯の温度について考察してみよう。

 時間における湯の室温との温度差をとすると、「Newtonの冷却の法則」 によれば
   (は正の定数)  …(A)
より、微分方程式
  
が成り立つということになるのであるが、(A)式がどのようにして得られるか、について考察しようというのである。

 本来、湯の温度を決定しているものは、水分子の運動の激しさの度合いである。水分子が周りの空気や器の分子と衝突してその運動エネルギーを失うことにより、湯の温度が下がる。
 いま水分子の総数をNとし、簡単のために全てが同じ速さで運動しているとする。そのうち単位時間につきn個の分子が周囲と衝突して速さを減少させ、そのn個分だけが室温に下がるとする。ということはこのn個分だけを、室温の湯で入れ替えるということになる。このために湯全体の温度がだけ変化するとすると、単位時間後の湯の温度は、
  
(前のエッセイ 『ネイピア割り』 参照)。したがって、時間後の湯の温度
  
となる。
 上式の右辺は<<なので
  
となり、
  
を得るのである。

 湯の温度の下がる割合は、周りの室温との温度差に比例するというのが 「Newtonの冷却の法則」 であるが、もうひとつの要素であるの値、すなわち湯の周りとの触れ合う面積にも比例するということも 「Newtonの冷却の法則」 である。

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